よく事業経営は航海に喩えられ、
事業モデル(ビジネスモデル)は、「船の設計図」だといわれます。
事業経営においては、
まず事業の目的(ミッション)があり、
その目的の方向へ進む過程のある時点において、達成したい状態(ビジョン)を定めます。
その状態に行き着くための道筋・順序(戦略)を取捨選択し、
その道筋・順序に対して、最適な事業全体の構造・仕組み(事業モデル)を作ります。
これを航海で喩えるならば・・
ミッションが「どこの海を・どの方角へ」航海する旅に出るかであり、
ビジョンは、その旅の次の「到着港」を示します。
戦略は、次の到着地点までの「航路」であり、
事業モデルは、その航路を「どんな船」(=船の設計図)で臨むのかを表します。
このように考えてみると、重要なことは、船の設計図(事業モデル)は、
それ単体でいくら考えても、何をどう設計していいか分からないということです。
つまり、どの領域をどこまで、どんな航路で進むかが分かって、
はじめてそれに最適な船の設計を考えることが可能になるということです。
最近は、「革新的なビジネスモデルを創造する!」といったキャッチフレーズで
事業モデル(ビジネスモデル)の斬新さだけが注目されている感がありますが、
何のためのモデル設計(創造・変革)なのかを明確にしないと、
ただの頭の体操で終わってしまいます。
また、「どこで儲けるか」、「いかに収益源を確保するか」
という「収益モデル」だけの議論に終始しているケースをよく見かけますが、
収益モデルは、あくまで事業モデルの一要素に過ぎないということを理解しないと混乱します。
どんな事業でも顧客に価値・満足を提供することで、利益を獲得しているという原則を考えれば、
ざっくり大きく捉えても、
・価値・満足を提供する商品をどうやって作る(仕入れる)のか
・その商品を必要としている人にどうやって届けるのか
・どこでいつ課金して、どのくらい儲けるのか
・これらの事業活動にどのくらいの費用をかけ、事業全体の利益をどう増幅させていくか
という点を議論し・全体としてロジックが通りように各要素を設計をする必要があります。
また、事業モデル単体ではなく、ビジョン達成に対する整合性を確認しながら、
最適な事業の全体像を描くことを忘れてはいけません。
どんな船に乗って旅に出るのか、この船を見誤ると、
目的地まで到達できないどころが、途中で沈没の可能性もあり、
決して盲目的に流行の船を選んではいけません。